メルボルン便り その3 (2003.9.12)
ABC
ご存知のように、オーストラリアは移民の国です。
1900年代の白豪主義から本日の多文化社会になったのは、大変素晴らしいことだと思います。
しかし、多文化の中で、今様々な問題を抱えていることも事実です。
今日は、その問題の一つ・・・「ABC」についてお話しましょう。
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さて、「ABC」って何でしょう?・・・Australia Born Chinese のことです。
オーストラリアへの移住者は、60年代には51%がイギリスやアイルランドからでしたが、
90年代にはその割合は12.9%に減少し、中国、ベトナム、香港、フィリピンなどからの移民が
21.1%を占めるなど、アジア諸国からの移住者が増えてきています。
その結果、国民の30人に1人は最低1人以上の中国系の親戚を持つ事になっています。
当然「ABC」もどんどん増えていくはずです。
同胞が増えるのはうれしいが、その一方で、オーストラリア文化に同化されている彼らを見ると、
多少不安です。多くの「ABC」は一見中国人に見えるのですが、中国語で声をかけると、
呆然となったり、流暢なOZ英語で答えてくれたりすると、こっちの方が唖然となってしまいます。
言葉さえできない移住者の2世達に、自国の「文化」というものはもう遠のいてしまったのでしょう。
子供を持つ友人によれば、「ABC」達はオーストラリア生まれ、オーストラリア育ちであり、
なかなか親しみのない中国文化に魅力を感じられないそうです。
親として当然母国の文化を子供が身に付けるように努力しますが、
どうしても自由奔放なオーストラリア式教育には勝てないようです。
最近一部の「ABC」が週末だけの中国語学校に通っているようですが、
週一回だけの強化教育はそれほど役には立たないようです。
母国の文化を保つのにはどうすればよいのでしょう?
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でも良く考えてみると、自分もいつか「ABC」の母親になるかもしれない、
そして、今皆が抱えている悩みも私の現実になるはずです。その時、私はどうします?
ある日、主人とこの問題で話し合い、以下の作戦を決めました。
1.私が日本で中国語を教えた経験を生かし、自宅で中国語教室を作ること。
2.家族の内では必ず中国語を使うこと。
3.コントロールできる年齢までは、年一回中国に行かせること。
4.中国および中国文化の素晴らしさ&面白さを小さい頃から身に付けさせること。
5.学校での外国語の専攻を必ず中国語にさせること。
しかし、以上は単なる私達の一方的な願いです。こんなにも自由な国で、
私達の夢は叶うのでしょうか・・・
りょう
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